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about me

犬に愛、猫に浪漫 会社を卒業してから5年、自動車会社のデザイン部門で30年あまりを過ごしてきたが、デザイン、いやモノづくりのココロは未だ現役だ。 振り返ってみればモノゴコロついた時からモノづくりが始まっていた。幼稚園で泥んこ遊び、小学校では図工が一番の楽しみで、中学では美術に出会い、高校では音楽をつまみ食い、思いがつのった挙句の美大ではモノづくりの醍醐味とプロ意識が芽生えた。その後、運よくデザイナーと呼ばれてモノづくりにどっぷり浸かる日々が続き、「好きこそモノノ・・」で、あれよあれよと時が過ぎた。 気が付けば現場を離れて“モノづくらせる”ことにちょっと疲れて、「楽しかったあの日はどこに」なんてぼやいたりしたもんだ。 などと思っていたが、会社を卒業してみれば、カラダに浸み込んだ“モノづくりのココロ”は、衰えてぐらつく体幹とは裏腹にこれからの生きるチカラだよと、カラダの奥からむくむくと覚醒するばかり。 そんな事もあってか、定年後を想像しつつ始めた陶芸は早くも十余年。ちょっぴり作家気取りの日々が始まっている。 陶芸に興味を持ったのは愛犬の死がきっかけで、いわゆるペットロスと仕事のストレスが重なって落ち込む日々を慰める術は、モノづくりのチカラなりと、「そうだ、愛犬を作ろう!」と決心。ちょうどお誂えむきに近所に出現した陶芸工房の門を叩く。これこれこうと、モノ分かりの良い工房師範にペットの話をすれば、「自由にやってちょうだい」と。楽な気持であの泥んこ遊びを再開。日々の疲れたココロを癒しながら、家中の器を作り続け、食器棚が溢れ始めた頃、ついに愛犬復活に着手した。 愛のチカラか、第一作はその出来栄えに久々の自惚れ状態に。 「これが私の生きる道!」と得意の早とちりをすれば、これまた早くなる手の動き。 まずは友人・知人の愛犬を手始めに練習がてらの創作続け、流行りのWebshopで恐る 恐る売ってみたりFacebookで「いいね」をもらったりで、5年あまりで修作ふくめて 100匹以上に! 会社を卒業したらば、有り余る自由時間。これ本業とばかり犬づくりに没頭してい る間は桃源郷に。が、頼まれて作っているだけ?と気づく。いやいや「自由になった んだから“好きな時に作る”犬陶芸作家で良いじゃないか」なんて考え始めてしまう。 そんな犬好きの迷いを知ってか知らぬか、ある日知人から舞い込む“猫”のリクエスト。しかもピアノ弾いてるの、と。 頼まれるとイヤと言えないサラリーマン時代の悲しい性か。でも刺激になるな、とポジに考えつつ“猫とピアノ”を思い浮かべてみるが、なかなかイメージが湧かない。 愛嬌は感じるけれど、そもそも猫との付き合いは無い。あの目、縦に細くなって、あれがどうもなあ。舌もざらざらしているし、といろいろ犬と比べてネガな思いが頭を巡るが、とにかくここは職人で受けて立った。 ピアノから作り始めてみるとこれが意外と面白い。勢いで猫を作り始めてみれば、あら不思議、耳にピアノが鳴りはじめ若い頃の記憶がジワリと蘇る。とあるジャズバー、紫煙の奥で渋めに爪弾 く老ピアニスト。その画がいつか猫になって。手元を見れば粘土の猫がニタっと 笑って指を立てている。さらに空想広がり連弾もどうかなと。“ebony&ivory”の メロディが流れてスティービーワンダーが黒猫に・・。あれれ?猫は苦手なは ずなのに夢中になっている自分が・・。そうか、猫って役者だなあ。ダンサー みたいなところもあるし、こいつとの空想世界に浸るのも有りか・・・。 でもなあ、リアルな癒しはやっぱり犬なんだなあ。 大矢康行